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2016.02.06

アウシュビッツに関する映画を2本

2月1日(月) 「サウルの息子」(シネマカリテ) 2015/ハンガリー
2月5日(金) 「顔のないヒトラーたち」(下高井戸シネマ) 2014/ドイツ

「サウルの息子」は、公開から、そう日が経ってない。私にしては珍しく(下高井戸に来るのを待たずに)見に行った。アウシュビッツに収容された人の中で「ゾンターコマンド」と呼ばれる特殊任務(遺体処理)に選ばれた人たちがいる。が、彼らも何ヶ月かしたらガス室へ、という運命が待っている。
後から後から、送り込まれてくる人たちが溢れ、ゾンターコマンドのサウルもほんとただ機械的に体をうごかしてるだけに見える。
そのサウルが、偶然見つけた「息子」をユダヤ教に則って埋葬してやりたい、と切望し……。

収容所に送られてきた人々やガス室などの情景は、画像がぼやかされて鮮明には見えない。ただ音や声(命令する声、叫びなど)が、くっきりと。でも、ある意味で寡黙な映画。
そしてカメラはひたすらサウルを追う。あまり説明されないので、こちらの頭もフル回転だったわー。107分とそう長くはないのに、ゆっくりズシンとくる。
そして昨夏、アウシュビッツで見た大量すぎる遺品(髪の毛、カバン、靴などなど)を思い出さざるを得なかった。

一方、「顔のないヒトラーたち」は、1958年、戦後の経済復興期の西ドイツ・フランクフルトが舞台。当時はアウシュビッツのことなんて一般に知られてなかったのね。その「犯罪」の告発に偶然関わりを持った若い検事が、様々な妨害に遭いながらも(ユダヤ人の検事総長のバックアップや、協力してくれる仲間の存在もあり)、裁判にこぎつけるまで。

この検事の成長物語の側面もあり、恋も織り交ぜつつ。サウルを見てきたばかりの私には、スクリーンに映し出されるものはとても明るい色彩を帯びてたなぁ。でも、「死の天使」と呼ばれた医師・メンゲレの所業が語られる時、サウルに出てきた医師を思い浮かべた。

アデナウアーの言葉:誰かが線引きをして、過去を沈黙に中に葬らなければならない、が作中に出てくる。誰もが蓋をしたかった過去(追及すれば、自分や恋人の親も党員だった、という現実が待っている)を暴くことは、邪魔され、あるいは懐柔され……。

この映画では、主役はともかく(まっすぐな若者だからね)、脇役が光ってたな。特に、検事の秘書役の、おっかさんみたいな女性!
こんなことを思うのも、サウルの息子は、もうひたすらサウルの映画だったから。いや、素晴らしかったです、彼。

というわけで、ちょっと重かった今週の映画。予告編では今日から始まっている「ヒトラー暗殺、13分の誤算」をやってて、これ見る?というところ。

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