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2016.12.30

久保田万太郎の作品を見る

12月21日(水) 「かどで/舵」 14:00〜 於・文学座アトリエ

(文学座12月アトリエの会)
作/久保田万太郎 演出/坂口芳貞(かどで)・五戸真理枝(舵) 出演/関輝雄、大滝寛、田中明生、沢田冬樹、山本郁子、名越志保ほか

12月7日初日の、文学座アトリエの会、二本立て公演の千穐楽。数日前に、行けそう!ということで予約した。手数料には目をつぶってイープラスで。
この前、初めて行った信濃町の文学座アトリエが、かなり見やすいというか、舞台の空気がストレートに伝わるのが気に入ってた。そして、その感想はさらに強くなったよ。文学座の役者さんは多いけど、ここに出られてる人はあまり知らなくて、その分、ストーリーに集中できたかも。

「かどで」は何か職人たちが作業している一室の場面でスタート。なに?と思ってるうちに、袋物屋で印伝らしい、というのがわかってくる。その日めでたく小僧の年季が明けた子が出かけていて、戻るのを「遅いね〜」と待っている。
一方、その場所が場面転換して、そこのおかみさんの部屋になる(暗転はしないので、その手法も面白い)。そこへは昔、女中をしていて嫁いだ女が乳飲み子を連れて、北海道に旅立つ挨拶に来ている。

「かどで」とはその2人の新たな出発を意味していて、お赤飯も用意されている。……が、小僧から職人になった男は打ちひしがれて帰ってくる。出先で、もうこれからは工業の時代で、袋物屋なんて時代遅れだと言われた、そしてそれを納得している。
また北海道に行くことになった女も、腕のいい職人だった夫が、労働運動に加わったことで解雇されたという。タイトルとは裏腹の(何が「かどで」なの?と)成り行きで、ほんとに時代の転換点なんだなぁ、という感じ。
職人の作業などがとてもリアルだったなー。

「舵」は浅草の三社祭当日の話。祭りのお囃子を実際に演奏! 役者さん、いろいろできないといけないのね。こちらも場面転換が工夫されてて、不安定な我々の足下を示しているかのようだった。
浅草のある家に、昔は芸者をしていていまは社長夫人に収まっている姉がやってきて、そこから昔の話に。今は幸せな家庭を築いているこの家の長男が、以前結婚を約束していた女性の不幸な運命……。「舵」とは人生の舵。それがうまく取れなかったのか、いや、取らなかったのか、と。

久保田万太郎は実際に浅草の袋物屋に生まれたのだという。不思議に余韻というか味わいのある2作だった。

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