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2017.01.08

日本初演、壮大な四部作

12月10日(土) 「繻子の靴」 11:00〜 於・京都芸術劇場 春秋座

作/ポール・クローデル 翻訳・構成・演出/渡邊守章 映像・美術/高谷史郎 照明/服部基 出演/剣幸、吉見一豊、石井英明、阿部一徳、小田豊、瑞木健太郎、茂山七五三、茂山宗彦、茂山逸平ほか//藤田六郎兵衛(能管)、野村萬斎(映像出演=口上役)

岩波文庫の「繻子の靴」は見た覚えはあるけど読んでない。渡邊守章氏もなんとなく存じ上げてはおりますが、という程度。だけれども、この1日がかりとなる全曲上演の機会は滅多にないと思うと、逃してなるものかという気持ちがムクムク。

ところで詩人ポール・クローデル(1868ー1955)は、カミーユ・クローデルの弟なんだねぇ。外交官でもあり、「繻子の靴」は、1925年に駐日大使として東京にいた時に完成、とのこと(関東大震災で被災している)。

「四日間のスペイン芝居」という副題がついていて、1日目〜4日目のそれぞれが各2時間ほど、間に30分の休憩が3回、計9時間半、というわけ
役者さん、出ずっぱり?大変じゃないの……と思っていた。この上演に先立ち(2005年試演、08年春秋座にて)オラトリオ版が上演されており、これは譜面台を前に戯曲を読むスタイルだったそう。今回はその朗読スタイルと、演技場面を組み合わせたものとして、上演台本を作り直したという。全て暗記じゃないなら、楽かといえば、そんなことは決してないと思うけどね。

舞台装置自体はとてもシンプル。舞台の床面を1段目として、真ん中、上段と3層構造になっていて、そこがスクリーンの役も果たす。そう、時も場所も変わって行く芝居だから、この手法はとても合う。んでもって、映像出演って?の萬斎さんが、各日の冒頭に登場して(3層の最上段に、あたかもそこに立ってるごとくに。あ、2段目に移動もしたかも)、口上というか、説明役ね。

複雑なストーリーの主筋(美しいドニャ・プルエーズと彼女をめぐる3人の男の物語)を追うと、次の通り。
【一日目】アフリカ北西海岸の総司令官ドン・ペラージュの若い妻ドニャ・プルエーズと、騎士ドン・ロドリッグの成就しない恋。ロドリッグは戦闘に巻き込まれ大怪我。
【二日目】ペラージュはプルエーズを、彼女に恋するもう1人の男ドン・カミーユ(背教者)がいるアフリカの要塞へと出発させる。傷の癒えたロドリッグは彼女を追うも、会うことを拒否される。
【三日目】夫ペラージュが死んで、プルエーズはアフリカ西海岸の守備のためカミーユと結婚。この時ロドリッグに宛てて書いた手紙は10年間地球上をさまよいやっと届く。ロドリッグは新大陸で副王となっており、彼はアフリカに侵攻する。やっと対面したプルエーズとロドリッグだが、彼女は永遠に彼の下を去る=要塞もろとも自殺する。
【四日目】10年後。ロドリッグは年老いて、スペイン国王の寵愛を失い、日本へ。名古屋城天守に幽閉されていた時に、日本人の絵師から日本の美学、哲学を学ぶ。ヨーロッパに戻った彼は、罠にはまり追放の憂き目に。
‥‥‥うーん、何も説明できてないな。守護天使や「魂の救済」も重要な存在なんだけど。
そしてここに副筋や脇筋としての、音楽姫をめぐる幻想的な物語や、召使たちの喜劇っぽい芝居も同時進行する。

ドニャ・プルエーズを演じた剣幸さんの圧倒的存在感があってこそ、という感じ。朗読場面でも、いやいや、きっちり演じてるよね、と思った。あとは、これだけ長時間となると、役者さんの技量や自分の個人的な好みが、わりとハッキリ浮かび上がるんだな、と思った。

そうそう、四日目は、主筋からすると付け足し(ロドリッグ以外は死んじゃってる)。だけれども、ここが「奇想天外の道化芝居」として存在し、不条理劇の早すぎる登場とも言えるとのこと。実際、視覚的にもかなり面白かった。映し出された波の中を、女の子2人が泳いでいくシーンは忘れられないなー。

藤田六郎兵衛さんの能管も効果的。(杉本博司演出「肉声」でのヴァイオリン演奏と比べるようなことではないけれど、私にはこちらの笛の効果がスッと入ってきたように思う)

ところで、12月19日付け日経新聞によると、渡邊氏は「クローデルの生誕150年となる18年に再演したいと考えている」んだそうですよ 生きてるうちにもう一度見るチャンスがあるのかな。

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