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2018.07.31

むき出しの「家族」

7月27日(金) 「消えていくなら朝」19:00〜 於・新国立劇場 小劇場

作/蓬莱竜太 演出/宮田慶子 出演/鈴木浩介(羽田定男)、山中崇(庄吾・定男の兄)、高野志穂(可奈・妹)、梅沢昌代(君江・母)、高橋長英(庄次郎・父)、吉野実紗(才谷レイ・恋人)

宮田慶子芸術監督が2期8年の任期を終える、その最終公演は、蓬莱竜太の書き下ろし。
なんと、蓬莱氏が自分の家族を書いたものとは、知らなかったなー。そもそも、あらすじには、定男は作家とあったんだけど、劇作家とは思わなかった。そしてストーリーが展開していっても、演劇あるあるのような内部ネタとは思っても、自身(もちろん演劇よりも家族だけど)をさらけだしてるとは思わなかった。

定男が5年ぶりに帰省した海辺の家に、家族が集まってくる。全員揃うのは18年ぶりとか言ってたっけ。リタイア老境で家の増築しか興味がない父、宗教にはまって子供達を連れ回し、今も信仰の中にいる母。その母の希望の長男だった兄(宗教的に失墜)と、そこから逃れるように自分の道を進んだ定男は、共にバツ1。そして、父親の歓心を買うため兄たちになりかわって「男っぽく」生きてきて独身の妹……なんとまあ、ではある。
そこに定男が今の恋人(バイト生活をして演劇をやってる女優)が加わる。

定男が、今度の新作はこの家族をありのままに描く、と言ったことから、噴出する、それぞれの気持ち、諍いの、生々しさ。
最初はあまり気にならなかった定男の「ふふふふあははは」と鼻で笑うような感じが、家族それぞれの様子がわかってくるにつれて、ちょっとイヤなものに変わってくる。単にこちらの受け止め方の問題なんだけども。

どの人も自分からは遠いけど、しっかり想像はできる。共感ではなくて理解、かな。どの人に対してもそれができるのが、後から思えばすごいなぁ、と。
また、他人である恋人が加わることの良さもあるし(ホワンとしていい感じだった)、それだけではなくて小劇場の「売れない」女優という存在もむき出しになる。
そんな濃密な1時間55分。

役者さんはみんな適役! 中でも、絶対的に自分が正しい母さん、梅沢昌代、最強、と思ってしまう。いや、そこに背負ってるものが見えればこそ、なんだけどね。


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コメント

家族に対しての定男のセリフが(自分の仕事を)「見たことない」「見にこない」「見にきてくれなかった」となっていくのがすごく象徴的で、普通と異常だけでなく成功とか満足とか幸福とかの境界線を跨いで立ってるんだなあ、みんな、なんて考えたりしました。利己的であってもやっぱり同時に隣の芝生は青く見えるのだ!とか。
もう一度見たかったのですが、かなわず残念〜

投稿: 猫並 | 2018.08.01 19:06

猫並さま

そうでしたねー。なんかものすごく重層的というか多面的というか……。ずーっと引きずってるし。自分の中の何かを掘り起こされる気もしたり。
こんな感覚のまま、来ちゃった感じなので、私は早い時期に見てても、2回見るエネルギーはなかったかも。

投稿: きびだんご | 2018.08.01 22:40

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