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2018.08.14

小劇場の醍醐味

8月3日(金) 「死と乙女」 13:00〜 於・サンモールスタジオ

作/アリエル・ドーフマン 翻訳/芦沢みどり 演出/東憲司 出演/石橋徹郎、朴璐美、山路和弘

暗いトーンのチラシを見た時から、おおっ!と惹かれるものと、同じくらい引いちゃう部分があった。惹かれる第一は、石橋徹郎さん、そしてシューベルト「死と乙女」の旋律という言葉。引いちゃうのは、心理サスペンスらしいこと、「あなた、あの男をレイプして」の文字エトセトラ。

実力派俳優の出演に、小さな劇場ということで、気づいた時にはなんとか追加公演だけは買える状態。やっぱり見に行こう、となった。

サンモールスタジオは2回目(前回は劇団チョコレートケーキを見た)。舞台の正面だけではなくて、下手側に(能舞台の脇正面に当たる感じ)3列、席があって、私はその2列目で見た。椅子に置いてあったチラシ類の中に、この戯曲の作者の本の紹介(購入申込書)も。それが『南に向かい、北を求めて:チリ・クーデタを死にそこなった作家の物語』(岩波書店)だった。

芝居の中では、どこ、とは明示されない軍事政権、そして民主化は、チリのことなんだなと思いつつ見ていた。もともと狭い劇場の小さい舞台だけれど、さらに通路を使ったりするので、ストーリーの緊迫感ともども、息づまる感じ。

かつて学生時代に軍事政権への抵抗運動をしていて捕まり、ひどい拷問を受けた女性。その記憶は今でもひどく彼女を苛んでいる。彼女がかばい通した(仲間の名前を言わなかった)今の夫は、民主化の下、当時の暴虐を明らかにする委員会の要職に就く予定。その出だしから、不穏な物を孕んでいるのだけれど、ある夜、車がパンクして困っていた夫を助けてくれたという医師の出現で、その不穏さは現実の行動に変わる。医師の声は、絶対に忘れられない拷問の実行者のものだったから。

復讐に燃える妻、否定する医師、その間で(立場もあり)困惑混乱する夫。……休憩なしの2時間、これですからね。といっても、ぼんやりしてる暇がないというか、外の暑さを忘れて集中!というところ。3人の俳優も、確かに実力派。がっぷり。

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