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2018.10.21

極めて私的に芝居を見る

10月20日(土) 「母と暮せば」14:00〜 於・紀伊國屋ホール

(こまつ座 第124回公演)
原案/井上ひさし 作/畑澤聖悟 演出/栗山民也 出演/富田靖子、松下洸平

広島(父と暮せば)、沖縄(木の上の軍隊)、そして長崎を描いたこの作品で、「こまつ座『戦後“命”の三部作』」という位置付けらしい。
この「母と暮せば」は山田洋次監督による映画化が先にあるけれど、舞台の出演者は二人だけ。私は映画も見ていないし、ほとんど情報も入れないまま見に行った。

三部作、とはあっても、「父と暮せば」と対をなす。終戦から3年目の長崎が舞台で、原爆で亡くなったのは長崎医大の学生だった息子。彼が、未だに陰膳を供える母の元に現れる。

この息子・浩二が2歳の時に父親は結核で亡くなり、母は以後、助産婦をしながら息子を育てて来た。その母(つまり浩二の祖母)もキャリア50年だった助産婦で、町内の子はみんな取り上げて来たという(被爆して3ヶ月後に亡くなった)。キリスト教徒の家なので、そういう差別もさらっと語られるし、後には原爆症に関しても。
とはいえ、メインは母を思う子、子を思う母の情景。

これがねー、ストーリーとは関係ない部分で、私をとても現実に引き寄せちゃって。
息子を「コウちゃん」と呼ぶもので、我が家も「コウちゃん」だなと思うとなんかムズムズ。ま、そう呼んでたのは私の母だけではあるが。
さらに、この息子が母の前に現れて、自分が長崎医大で炎の中で死ぬ時の事を語ると、どうしても、友人の息子(圧死か焼死か、身元確認を含め時間がかかった)のことを思い浮かべてしまい……舞台を見ていながら頭はお留守、みたいな状態にもなってしまった。もうすぐ七回忌ということもある。

あ、実際の舞台は、クスリと笑っちゃうシーンもしばしばあって、重苦しい、というわけではない。もう73年も前のことになってしまった出来事を、こうして伝え続けていく、目を向けていなかったことに思いをはせる。それは現在に生きる私たちにも必要なこと。

たおやかで芯の強い母を富田靖子が好演。まっすぐで母思いの息子・松下洸平ともども、よかったよ。長崎弁ではあるんだけど、あんまりそんな感じがしないというか……。そこは、広島弁の辻萬長さんが染み付いてるからか。ああいうたくましい「おとったん」とは全く別の人物像とは思いつつもね。

しかし、こまつ座の芝居を定価で見ることがほぼないなぁ。でも、松田龍平くん主演の「イーハトーボの劇列車」はちゃんと取った方が無難だろうか。劇場で先行申込み用紙をもらってる。送るなら明日までなんだなー。

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コメント

ご無沙汰しております。
「母と暮らせば」は今回は見られなかったので次の機会にはぜひと思っているのですが、コウちゃんではないけれど、うちにも近い名前がいるし、お友達の息子さんのことはきびだんご様を通じて他人事とは思えないし、家族のそんな死、それも逆縁はつらいし、私もきびだんご様と同じような気持ちになるかもしれない…相当心構えしておかないとな~という気持ちになりました。
息子役の松下洸平クン、ついこの前録画を全部見終えたドラマ(「捜査会議はリビングで」)でもとてもいい感じでした。

投稿: SwingingFujisan | 2018.10.23 21:25

SwingingFujisanさま

コメントありがとうございます
これ、見終わった時に、SwingingFujisanさまを思い浮かべたんですよ。戦争、医師……もちろん、こまつ座ということでも。次回はぜひ、ご覧になれますように。浩二くんは大正13年生まれだから、父とほぼ同年齢でした。
脚本の畑澤氏は青森で劇団を主宰している高校教師なんですって。
「捜査会議はリビングで」! たまにリアルタイムで見てました。そうか、あの警官だったんですね 最近、特に若い子の顔が判別できない病にかかってまして、困ったもんです。

投稿: きびだんご | 2018.10.24 10:16

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