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2019.07.08

親の幸せ、子の幸せ

7月7日(日)  「ぼけますから、よろしくお願いします。」10:00〜   於・下高井戸シネマ

監督・撮影・語り/信友直子、2018年、102分

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広島県呉市に二人で暮らす高齢の夫婦を、東京に住むひとり娘の信友直子さんが撮ったドキュメンタリー。単発のテレビドキュメンタリーとして放映された後、追加取材と再編集を経ての完全版。

父は1920年生まれ、母は1929年生まれだから、私の両親とほぼ同世代と言える。ずっとドキュメンタリーを制作してきた直子さんは、母親がアルツハイマー型認知症と診断される前から、カメラを回してきた。だから、元気だった頃(70代かな)の、書道の作品展で表彰される生き生きとした姿も映っている。また、直子さんが45歳で乳がんを患って手術する前後の病院での様子や、抗がん剤の影響で髪が抜けてしまった姿もさらけ出している。その上で、母が徐々に記憶が怪しくなっていき、診断がついて、でもその後も老夫婦二人だけで暮らしていく日々が描かれている。

これ、前にポレポレ東中野で見た友人に、ぜひ見て!と勧められていたこともあって、少し軽い気持ちで見ることに。どちらかというと、私も最近、固有名詞がなかなか出てこないしな、くらいの「自分」に引き寄せた部分があった。けれども、広島の言葉は岡山に近いこともあって、どうしても自分の両親のことを思ってしまった。

 母親が認知症と診断された時には父親は90代の半ば(耳が遠い)。それでも、東京で頑張る娘には帰って来なくていい、自分たちで頑張ると言い、ギリギリまで公的な援助も断って「自分たちでやります」というのを貫いていた。だんだん病状が進んで、洗濯や炊事ができなくなってからは、父親が95歳にして包丁を握って林檎を剥き、裁縫(掛け布団の襟つけ)までする。ほんとに穏やかないいお父さん(活字の虫)なんだけど、「死にたい」などと口走る妻に、つい大きな声を出すことも……。

この年代の人って、ほんとに「人さまに迷惑をかけたくない」「自分の子供の負担になりたくない」という気持ちがとても強いんだと思う。この両親にとって、娘はほんとによくできる自慢の子(東京大学の入学式写真が映った)、キャリアを潰させたくはない、自分たちが頑張るんだ、というのがひしひしと伝わってきた。

老親の介護問題は、ほんとに人それぞれで、どれが正解というのはないと思うけど、私も親には少しでも自宅で長く生活してほしかった、という気持ちはある。けれども、遠く離れている自分がそれを主張できないし、万一押し切ったらそれこそ姉妹の間に亀裂が入るのは必至。事情はそれぞれだもんね。

などなど、時にコントのようにもなる夫婦の会話に笑ったりしつつ、主に娘の気持ちでスクリーンを見つめ、そして自分の親のことも思ったのだった。

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