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2019.08.26

三部作、通し上演

8月25日(日)  「福島三部作」13:00〜     於・東京芸術劇場シアターイースト

(DILL-COLORED POP vol.20)

作・演出/谷賢一

第一部『1961年:夜に昇る太陽』、第二部『1986年:メビウスの輪』、第三部「2011年:語られたがる言葉たち』

福島三部作。個別に一つだけ見てもいいし、別の日に一つずつ見てもいいし……全部まとめて見てもいい。私は日程的に、もう一日で見ちゃえ!となった。この日はアフタートークに長塚圭史さんが登場することもあったし。

各部は、出演者も殆ど違う(二つにまたがって出る人もいるが、設定年が違うので同じ人の役ではない)。舞台の作り方も違う。共通しているのは、上演時間が約2時間であること、ここが福島県の双葉町であるということ、そして、ずーっと流れてる、「自分がどう思ってるか他人にどうしてわかる、わかるはずがない」という思いだったり、「実は死者の声は周りに満ち満ちているのに聞こえないだけ」といった示唆めいたこと、かなぁ。

ちなみに1961年は、東京電力が双葉町に原発を作るにあたり、土地の買収を始めた年。地域の有力者・穂積家もそれを受け入れた。長男の孝は東大で学んでおり家を継がず、ほかに青年団活動をしている次男・忠、少し年の離れた三男・真がいる。第一部の主人公が長男・孝で、第二部は原発反対派から変節して町長になった次男、第三部は地元ローカル局の報道局長となっている三男。1986年は原発誘致以来の町長が、利権問題で失脚して、反対派だった忠がうまく取り込まれて賛成派として町長になった年。かつ、チェルノブイリ事故の年。そして、第三部は2011年。まさに、あの大地震のシーンから始まる。

 なんとなく重苦しい芝居をイメージしていたけれど、第一部は三男・真とその友人達は人形だし(人形遣いが声を出す)、わざと忙しく役をチェンジして笑わせたりも。昔々のメロドラマ風だったりもするし。第二部は、二男・忠の家の飼い犬が寿命で死ぬ場面から。結局、その犬の「魂」が実体としてずっと舞台の上にいて、あれこれ心配をし、また語りもする。なぜか全員が歌う(忌野清志郎の歌と思う)場面もある。

 第三部は、それらからすれば重苦しい。テレビ局の、福島県民に夢と希望をという思いと、数字が取れる画面づくりの二律背反。そして、何組かの「被災者」のリアルな声(同じく避難している者同士でも差別してしまうなど)。心を閉ざしていた男性(妻と子供は見つかっていない)が、やっと語り始めた時、そこにはいくつもの、あの時の「悔い」が溢れていた。

 作・演出の谷氏は、福島出身の母親と、原発技術者の父をもつという。それって、息子の幼稚園友達の家と同じ。その子のお母さんは双葉町の出身で、その後、お父さんが柏崎に転勤になったからそちらで暮らして、柏崎に遊びに行ったこともある(なので、柏崎原発の見学もしたし、何号炉かの建築現場も見た)。色々と思い出しちゃったなー。

 アフタートークは、谷さんが聞き手となっての長塚さんのトーク。長塚さんも、この日は第一部から通してずっとご覧になってたとのこと。なかなか言葉ではまとめづらいけど(抽象的な話が多かった)、互いに刺激し合える存在なのはよくわかった。私も長塚さんと同じで、第二部が好きだよー。

 第一部は13時開演、以下、16時〜と19時〜。アフタートークが終わったらちょうど21時30分でした。お疲れさまぁ。

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