映画・テレビ

2020.07.18

韓国映画を見る

7月13日(月) 「マルモイ ことばあつめ」12:10〜の回 於・シネマート新宿

監督・脚本/オム・ユナ 出演/ユ・ヘジン(パンス)、ユン・ゲサン(ジョンファン)ほか 2019年/韓国/135分

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これ、銀座で予告編を見て知ったのだけど、その予告編以上の情報は持たずに見に行った。中央に写っているユ・ヘジンは光州事件を描いた「タクシー運転手」で記憶に残っていた(ただし、機内で見たのみ)。とても存在感があった。平凡なおっちゃんだけど心が熱い信念の人、という役どころで。今回も、貧しくて字も読めない男の役。シングルファーザーで、京城中学に通うよくできる息子と、就学前の娘を育てている。

時代は日本に併合された後、太平洋戦争が近づきつつあるころで、場所は今のソウル。このユ・ヘジン演じるパンスが、朝鮮語の辞書づくりに執念を燃やす朝鮮語学会のジョンファン(写真右端)の大事なカバンを置き引きしたことから話が始まる。

表向き書店で、内部では朝鮮語学会の事務局(地下室もある)で雑用係として勤めることになるパンスと、彼はとても信用できないとことごとく対立するジョンファンだけれど……。

軍国教育や日本名を強要される中学生、朝鮮語の辞書なんてとんでもないと圧力をかける総督府……学会のメンバーやその家族が刑務所にいたりもする。そんな中で、各地の方言を集めて辞書の原稿を作り、命にかえてそれを守ったパンス。大怪我をしたジョンファン。独立後、5年ほどしてその辞書は完成した。

やっぱり、ユ・ヘジンがいい! 無学だけれど誇り高い人物。そして、読み書きを教わっていく過程で、街なかの看板を次々に読んでいくシーンも心に残る。

正直、日本人の役者が出演していたら、と思ってしまう。弾圧の指揮を取る軍人など、日本語で喋るけど、いくら上手くてもやっぱり発音に違和感はあるから。

ところで私も大学後半に少し朝鮮語をやってみたことがあって、その頃に学んだことは未だに覚えてるんだな、とつくづく思う(すっかり消え去ったチェコ語との違い!)。上の写真、後ろに写ってる看板は「朝鮮語学会」と書いてあるよ。文字が合理的に作ってあるから、一度覚えるとなかなか忘れないのかもしれない。

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2020.06.27

エンタメ復帰は映画から

6月24日(水)「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」12:50〜の回   於・ピカデリー新宿   監督/グレタ・ガーウィグ   米   135分

6月26日(金)「お名前はアドルフ?」14:35〜の回   於・シネスイッチ銀座  監督/ゼーンケ・ヴォルトマン  独   91分

  そろりエンタメも復活傾向で、来月の舞台のチケ取りもしてはいるけれど、今はまだ足を運べないでいる。そんな中で、映画館は色々対策を講じた上でオープンしているから、フラッと行きやすい。だいたいどこも同じような感じでしょうけど、オンラインチケット購入は当日のみ(午前0時から)。座席は1つ飛ばしなど。見る側としては左右に人がいなくて快適……。

ほんとはまず「お名前はアドルフ?」を見たかったけど、時間の都合(効率的に動くために)で、先に若草物語を。若草物語、子供の頃にすきだったなー。恋すりメグがどぎまぎして「父は傘立てに、傘は……」と逆に言っちゃうところとかね。でもそれ以来読んでなくて、光文社の新訳文庫で出た時も興味を惹かれただけで終わってた。だから、基本的にはそう覚えてないのよ。それが、見てるうちに、そうだった!とよみがえってきたり。奇妙な懐かしさとでも言えるかしら。

 主人公は次女の、作家志望のジョー。そう言えば子供の頃、ボーイッシュなジョーが好きだったっけ。

現代に映画化するにあたって、南北戦争、奴隷制、女性の立場……様々に目配りされている、という感じ。キャストを見てなかったので、メリル・ストリープが登場してびっくりー。

 

いっぽう、「お名前はアドルフ?」は、そうと知らずに見始めたけど、元々フランスの舞台作品だったとか。なるほど!  だから、見ていてこの役は生田斗真くん、などとキャストを妄想するはずだ。舞台は、ボンの人文学大学教師ベルガー夫妻の家。ここに古くからの友人(オーケストラのクラリネット吹き)と妻の弟夫妻がやって来る。遠くに住む母親がちょこっと(電話で)登場するくらいで、ディナーの準備からそれが終わって解散くらいまで。そりゃ、舞台をイメージするわよね。「おとなのけんか」みたいな。

インテリな(小難しい)義兄、教師だった姉、勉強できなくても事業に成功した弟、女優の恋人(妊娠中)、そしてプーさんぽいクラリネット吹き。オーディションで遅れる彼女がいない間に、お腹の男の子の名前をアドルフと決めた!と言ったことから始まるゴタゴタ。ヒトラーの名前なんてありえないでしょ、というみんなの声に、あーだこーだと反駁する。

そのうち、論争はそれだけじゃ終わらなくなって、もともと皆が持っていたこころの奥底をさらけ出すような、あれやこれや。誰も逃れられないし、黙らない。移民問題も出て来るけど(遠くに住む母親がその活動)、ジェンダーの視点、LGBTへの言及……それがちっとも難しくなくてむしろ爆笑の中で出てくる。いやー、笑ったよ。

 来週も映画、見られたらいいな。

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2020.06.04

懐かしのテレビドラマ

6月4日(木)

日曜日(5月31日)の午後、散歩から帰ってついテレビをつけたら、映ったのが「愛していると言ってくれ」の第2話の途中。特に見るつもりもなかったのに、なんだかやめられなくなって、そのまま最後(第3話)まで。25年前のドラマだという。いや、当時も後半は見ていたはずで、未だに覚えているシーンもあるんだけど、始めの方は見てなかったのよね。その後、Tverで見てなかった部分も遡って見たのでした。便利な世の中。

リアルタイムで見てた当時、特に豊川悦司!だったわけでは全くないんだけど、今見ると、やーカッコイイですっ、となってしまう。あの目がね……。それでいけば、常盤貴子はあまりイメージが変わらずに来てるんだろうか。(今回の再放送にあたり、主演の二人がリモートで対談してる場面がくっついてた。)

井の頭公園や、公園駅がしばしば出てくるのも、ポイントの一つかな。駅の広告看板に「明星学園」があったりして、おやおや。毎週日曜日の午後に、3話ずつ放映されるようなので、これからも楽しみ!

もう一つ、こちらは毎週火曜日の夜にやってる「逃げるは恥だが役に立つ」の時別編。これも放映時に最初の方は見てなかったのよね。テレビでは見ないけど、空いてる時間にTverで見てる。脚本が女性問題とかLGBTに目配りきいてて、今のドラマだな、と思う。

そういえば、この2本はどちらも女性脚本家の作品で、(当時)日の出の勢いというか、人気を不動のものにした、というのか。

 

ふと気がつけば、いま実際にテレビでドラマを見ることが少ないんだな。いや、家族に付き合って警察ドラマを見ることはよくあるんだけど、毎回、人が殺されるようなのばっかりだもんね(じゃないと事件になりません!)。

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2020.05.25

見る・台湾

NHK土曜ドラマ「路 〜台湾エクスプレス」

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 全3回のドラマで、残すところあと1回。リアルタイムで見ているわけではない。たまたま少し年上の友人からのメールに、このドラマのことが書いてあって、旦那さんが台湾新幹線建設の仕事で2年ほど現地に行ってたことを思い出したから。そうだった! 遊びに行った時に、台湾で買ってきたという茶器セットで、台湾式のお茶をふるまってもらったんだ。たぶんとても大変だった話も聞いたんだと思うけど、それはすっかり忘れてるわね。2年で9キロくらい痩せて帰ってきたのだそう。

 それはともかく。そんなこんなで遅ればせながら、配信期間ギリギリに第1回を見て、今日(日曜)、第2回を見た。えっ、あと1回しかないの、という展開に思えるくらい、詰め込んでる感。でも、街の中の風景や、台北だけじゃなくて高雄や花蓮なども出てきて、いいなー。新幹線で、台北ー嘉義ー高雄と乗った時の記憶もよみがえってきて、「また行きたいよぉ」なのですわ。波瑠の相手役(エリック役)のアーロンがなかなかいいな、と。ちょっと成宮寛貴を思い浮かべちゃった。彼、元気かな。

 先に書いたドイツには流石に当分行けそうにないけど、台湾だったらそこまでハードル高くないのでは……。と夢みてしまう。

 現実には……緊急事態宣言、ほんとに解除されるの?大丈夫??という状況の今。解除のあかつきには、とりあえず神代植物公園に行くわよ、とまだまだ、な私です。

 

 

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2020.03.12

ジャーナリストが撮った映画

3月11日(水) 「わたしは分断を許さない」12:30〜  於・ポレポレ東中野

監督・撮影・編集・ナレーション/堀潤  (2020/日本/105分)

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 かつてNHKのアナウンサーだった堀潤氏(初任地は岡山!)、今はジャーナリストとして飛び回り発信している。そんな彼が「分断」の最前線を取材してまとめた映画。

 冒頭に登場するのは香港のデモ隊と警察の衝突。中国に対する抗議といっても、実際に対峙しているのは香港の警官。激しい衝突が起こった日のフィルムには、発砲を受けて倒れる青年2人。そしてデモ隊が道路を封鎖したことを怒っていたタクシー運転手が、拍手する姿が捉えられている。

 香港のほかにも、そんな分断の現場として、ガザ、シリア、福島、沖縄、北朝鮮に取材している。ちょうど3月11日、福島の分断は、「生業訴訟」の原告の姿を通して伝えられる。

 場所があちこちしたり、こちらに知識がなかったりで、ついていくのが大変な部分も。テレビのドキュメンタリーほどゆっくり見てられない、みたいな。という意味では、もっと焦点を絞った方が……とも思うけど、そこがジャーナリスト、なんでしょうか。

このポレポレ東中野からスタートして、順次全国公開。私が見た回も終わってから堀氏の舞台挨拶というか、トークがあった。終了後にはパンフ&著書へのサイン会も行われてたけど、そちらは遠慮。ちょうど2時半過ぎに終わったから、映画館でグズグズして46分に黙祷。9年たった、そして10年目の始まりの日はこんな風だったのでした。

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2020.03.03

新宿でナウシカ映画を見る

3月3日(火) 「風の谷のナウシカ  ディレイビューイング 後編」11:00〜  於・新宿ピカデリー

 ほんとだったら、今日は国立劇場 小劇場に、菊之助を見に行ってたはず。それがナシになっちゃったから、代わりに行くなら、ナウシカしかないよね、というわけで……。東劇、新宿ピカデリーともに11時開始だから、んじゃあ新宿ね、と。前編と同じくネット購入、dポイント払い、QRコード発券にて。

 歌舞伎座で見た時は、2列目のセンターだったから、映画で、花道を駆ける役者を見るととても新鮮。場面はよーく覚えてるところと、ハテ?というところと。全体を通して、巳之助の2役(ミラルパと兄ナムリス)がよくわかってなかったので、そこがスッキリできたかな。いや、そもそもちょっと気持ちの悪い役だったので、頭が拒否した部分もあったかも。ごめんね。

 このところ、休演情報が相次いで、私自身が思っていた以上にダメージを受けていたのかな、と思う部分もあり、普段だったらそこまでではないと思うのに、しばしば涙しちゃったよ。……まったく、昨日と同じ今日はありえないのよねぇ。

 菊之助ナウシカが、王蟲の抜け殻の目を持って踊る場面、舞台ではワクワク楽しんだのに、映画だとちょっと退屈してしまった。その辺りが、生の舞台との違いなのかな。でも、ラスト、墓の主とオーマの精(歌昇・右近)の対決場面などは大迫力で堪能。2人だけでなく、それぞれの群舞としても楽しめた。そして音楽の迫力も!

 舞台を見たときには、世の中がこんなになってるなんて想像もしなかったな。新型コロナウイルス写真を彷彿とさせるような映像(ほんらいは美しいはずなのに)とか、そもそものストーリーとか。

 出歩かないと足が鈍るし、気晴らししなくちゃねー。

 

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2020.01.29

エンタメ復帰は、かるく映画から

1月29日(水)  「ジョジョ・ラビット」於・吉祥寺オデヲン

監督・製作・脚本/タイカ・ワイティティ  キャスト/ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)、トーマシン・マッケンジー(エルサ)、タイカ・ワイティティ(アドルフ)、スカーレット・ヨハンソン(ロージー)ほか   2019年/アメリカ/109分

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映画の中ではアドルフを演じてるあの人が、監督、製作、脚本も担当してたなんて、見てる間は知らなかったなー。オープニングから楽しい。ビートルズだし!(でもねぇ、熱狂してる市民の実写フィルムも織り込まれてる)。主人公は、ヒトラー・ユーゲントに入って訓練を受けるジョジョ、10歳。この子がメッチャ可愛い。

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入って早々に、訓練中の事故で(それだってコメディだわね)顔に傷が残り、脚も少し不自由になってしまった。だから、そんな彼にもできる仕事でナチの役に立とうとしてる。時代は、ちょっとドイツの形勢が悪くなって来た頃から。上の写真のアドルフも、ジョジョにしか見えない存在。

シングルマザーの母(父親はイタリアの戦線に行ったまま行方不明。最後のあたりで「活動家」と示唆されたような)との家の屋根裏部屋に、いつしかユダヤ人少女が匿われてた!  美しい母親もなんだか謎めいてるけど、登場シーンはみなとても美しく華やかで素敵。

ヒトラー・ユーゲントの教官(のちに事務職に降格)、キャプテンKがイイ奴だったなー。笑いながらも、過酷な現実を思い、たくましさも信じるこころも、しっかり受け止めるような、そんな100分余でした。

エンドロールをぼんやり眺めてたら、どうやらチェコの人らしい名前がいくつも。その後、Czechという文字も見えて、何かなと後で調べたら、ロケがチェコで行われたようでした。

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2019.08.30

ナショナル・シアター・ライブを見る

8月30日(金)  ナショナル・シアター・ライブ「マクベス」12:25〜    於・シネ・リーブル池袋

作:ウィリアム・シェイクスピア   演出:ルーフィス・ノリス   出演:ローリー・キニア、アン−マリー・ダフほか  2018年5月/英ナショナル・シアター   オリヴィエ劇場/2時間40分

 NTLの新作が登場しても、なかなか見に行けなくて……夏のシネ・リーブルでのアンコールまつりは有難い。のではあるが、結局のところ、やっぱり見られないのよ。でも、なんとか「マクベス」は見ることができて、よかった。

シェイクスピアの中でも、上演機会の多い「マクベス」。ちょっと前には、ぐるぐる劇場で「メタル・マクベス」をやってたし、蜷川さんの仏壇のマクベスやら、人形劇でも見たことあるし……。そんな中、「本場の」マクベスってどんなの?

冒頭の解説コーナーには、演出家と舞台美術の人、あと戦場カメラマンが出てきて喋ってた。現代の紛争にも通じるもの……内戦の後には民族主義や全体主義がはびこり、民主主義は遠いのだ、というような。劇中の時代は、いつとは特定されない。衣装も、現代的だし、王冠をつけているわけでもないし。

高さのある舞台空間を、可動式のアーチ型の橋が奥から手前に伸びて、それが動くことによって場面転換にもなる。これとても気に入った。そして、いきなりこの橋の上での戦い&とどめ。首を切っちゃうんだよ。古今東西、変わらない!   そしてその首を袋に入れてポールに掲げる。それを冒頭、マクベスがやって、そして最後に同じようにしてやられるの。

大人なマクベス&マクベス夫人の、怯えの部分にかなり力点が置かれてる感じ。そうそう、魔女たちはお鍋グツグツはやんないけど、じゅうぶん禍々しい。あ、バンクォーの子供フリーアンスが、息子じゃなくて娘になってた。これは初めてのパターン。逃げちゃってから後は登場しないんだっけ……?  バンクォーの子孫が代々の王になるんだけども。

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2019.08.25

長い映画を見る

8月24日(土)「ニューヨーク公共図書館ーエクス・リブリス」10:30〜    於・アップリンク吉祥寺

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監督・製作・編集・音響/フレデリック・ワイズマン    2017/米/3時間25分・休憩10分

 岩波ホールで上映されてた時、かなり混んでる気配で、下高井戸に来るよねー、と待ってた。そしたら吉祥寺でやってるのを見つけて、行ける時に!と(帰宅したら下高井戸シネマから10月までのスケジュールが届いてて、この映画は10月中旬の予定になってた)。

でも、いつものようにろくに内容も知らずに見に行ったんだよね。そもそも、「世界で最も有名な」図書館とも知らずに。88の地域分館と、4つの研究図書館を擁するんですと。

で、各図書館で行われるトークイベントや、スタッフの会議、子供たちへの学習支援、点字や音声図書、舞台の手話通訳、パソコン講座、通信機器の貸し出し、人種問題のディスカッション、エトセトラ。様々なシーンがつなげられていく。

内容が盛りだくさんで、頭がパンクしそうでした。が、見ながら、なんだかんだ言って民主主義の国だよね(翻ってこちらは、という意味で)と思ったな。スタッフや幹部の会議がかなりしばしば出てくるけど、そこでの男女比なんかも、残念ながら日本だとこうはいかないだろう、とも。

 

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2019.07.08

親の幸せ、子の幸せ

7月7日(日)  「ぼけますから、よろしくお願いします。」10:00〜   於・下高井戸シネマ

監督・撮影・語り/信友直子、2018年、102分

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広島県呉市に二人で暮らす高齢の夫婦を、東京に住むひとり娘の信友直子さんが撮ったドキュメンタリー。単発のテレビドキュメンタリーとして放映された後、追加取材と再編集を経ての完全版。

父は1920年生まれ、母は1929年生まれだから、私の両親とほぼ同世代と言える。ずっとドキュメンタリーを制作してきた直子さんは、母親がアルツハイマー型認知症と診断される前から、カメラを回してきた。だから、元気だった頃(70代かな)の、書道の作品展で表彰される生き生きとした姿も映っている。また、直子さんが45歳で乳がんを患って手術する前後の病院での様子や、抗がん剤の影響で髪が抜けてしまった姿もさらけ出している。その上で、母が徐々に記憶が怪しくなっていき、診断がついて、でもその後も老夫婦二人だけで暮らしていく日々が描かれている。

これ、前にポレポレ東中野で見た友人に、ぜひ見て!と勧められていたこともあって、少し軽い気持ちで見ることに。どちらかというと、私も最近、固有名詞がなかなか出てこないしな、くらいの「自分」に引き寄せた部分があった。けれども、広島の言葉は岡山に近いこともあって、どうしても自分の両親のことを思ってしまった。

 母親が認知症と診断された時には父親は90代の半ば(耳が遠い)。それでも、東京で頑張る娘には帰って来なくていい、自分たちで頑張ると言い、ギリギリまで公的な援助も断って「自分たちでやります」というのを貫いていた。だんだん病状が進んで、洗濯や炊事ができなくなってからは、父親が95歳にして包丁を握って林檎を剥き、裁縫(掛け布団の襟つけ)までする。ほんとに穏やかないいお父さん(活字の虫)なんだけど、「死にたい」などと口走る妻に、つい大きな声を出すことも……。

この年代の人って、ほんとに「人さまに迷惑をかけたくない」「自分の子供の負担になりたくない」という気持ちがとても強いんだと思う。この両親にとって、娘はほんとによくできる自慢の子(東京大学の入学式写真が映った)、キャリアを潰させたくはない、自分たちが頑張るんだ、というのがひしひしと伝わってきた。

老親の介護問題は、ほんとに人それぞれで、どれが正解というのはないと思うけど、私も親には少しでも自宅で長く生活してほしかった、という気持ちはある。けれども、遠く離れている自分がそれを主張できないし、万一押し切ったらそれこそ姉妹の間に亀裂が入るのは必至。事情はそれぞれだもんね。

などなど、時にコントのようにもなる夫婦の会話に笑ったりしつつ、主に娘の気持ちでスクリーンを見つめ、そして自分の親のことも思ったのだった。

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